皆さんは「KYC」と言う言葉をご存知でしょうか。多くの方が「聞いたことがない」と言う状態ではないでしょうか。ですが、知らないでは済まない時代に突入しています。なぜならネットが普及した現代においてKYCがなければ犯罪に巻き込まれる可能性が非常に高いためです。そこで今回はKYCについてわかりやすく解説していきます。
KYC とは
KYCとは「Know Your Customer(顧客を知る)」の略称で、本人確認手続きのことを指します。これまでKYCは、主に金融機関の口座開設や、ローン申込みの際などに行われてきました。しかし最近では、オンライン上で取引が完結するサービスが増えたことによって金融サービス以外でのKYCの必要性が高まってきているのです。
KYC 種類
KYCとは単なる本人確認ではありません。本人確認とは具体的には、取引の相手が「実在しているその人本人であること」を確認する手続きのことを指します。そのため確認を行う対象は個人だけでなく、法人も対象となります。また、個人(=自然人)の本人確認には、大きく分けて「身元確認」と「当人認証」の2種類があります。「身元確認」とは、身分証明書によって個人を特定する属性情報(名前、住所、生年月日など)を確認する作業です。また、本人が身分証明証に記載された住所に居住しているかどうかを確認する作業も含まれます。一方で「当人認証」は、実際にその手続きを行っているのが本人かどうかを確認する目的で行われます。例えば、付与したIDとパスワード入力によって本人であることを確認するなどが挙げられます。
KYC なぜ必要?
ではKYCはなぜ必要なのでしょうか。結論から言うと、ユーザー・事業者の両者ともを不利益、不正から守るために行われます。ユーザー側ではあらゆる犯罪に巻き込まれる可能性もあります。一方で事業者では取引による損害のリスクヘッジの側面があります。ネットが普及した現代ではKYCは非常に重要な役割を果たすのです。
KYCとeKYC
KYCに似たようなものに「eKYC」と言うものがあります。従来のKYCは対面もしくは郵送などと手続きが面倒な部分がありました。そこで導入されたのがeKYCです。これはスマホ一つで本人確認が完了するもので、本人確認の正式な手続きとして2018年に認められました。
仮想通貨におけるKYCの重要性
また、近年問題になっているのが仮想通貨におけるKYCの役割です。KYC情報があれば、仮想通貨取引所は、保有者がウォレットを悪用する可能性を評価するための、バックグラウンドチェックを行うことができます。そのため、マネーロンダリングやその他の違法な金融取引に偽名のウォレットが使用されることを防ぐことができます。ネット上のみで取引が完結していまう仮想通貨ならではの問題点をKYCで解決していこうということです。
米国 新規制法案でKYC用件拡大?
また、最近では暗号資産取引所「FTX」の破綻事件を受けて暗号資産の法規制が厳しく指摘されています。
参照: 『FTXの債権者リストに日米欧の大手銀行も-破産裁判所資料』
これに伴いアメリカでは現在KYCの要件を広げる新たな法案が提出されているのです。しかしこれには、批判的な意見もあり今後の動向に注目が集まります。
参照: 『米議員ら、新たに提出した仮想通貨規制法案でKYC要件を拡大』
最後に
近年、個人情報の取り扱いや規制が厳しくなりKYCへの関心も非常に高まってきています。皆さんもご自身の身を守る上でもKYCに関して正しく理解しておきましょう。