健康志向の高まりとともに、手軽に始められるウォーキングやランニング。
これらの活動を快適かつ安全に楽しむためには、足元を支えるシューズ選びが重要ですよね。合わないシューズを選んでしまうと、不快感だけでなく、膝や腰の痛みを引き起こすなどの可能性も考えられます。
今回は、ウォーキングシューズとランニングシューズの基本的な違いから、構造や機能的な詳細、そして「兼用しても大丈夫?」という多くの方が抱く疑問について、解説します。
ウォーキングシューズとランニングシューズの違いは?
ウォーキングシューズとランニングシューズは、それぞれ「歩く」動作と「走る」動作の特性に合わせて、根本的な設計が違うとされています。ここでは、それぞれがどのように違うのかを確認していきましょう。
ウォーキングシューズの設計ポイント
ウォーキングシューズは、長時間安定して快適に歩き続けられることを主な目的として設計されています。設計ポイントは以下のような点が挙げられます。
- ランニングほどの大きな衝撃はかからない。
- 過度な衝撃吸収性よりも、「安定性」を重視。
- かかとからつま先へのスムーズな体重移動を重視
具体的には、着地時の安定性を高めるしっかりとしたかかと部分の作りや、足の自然な動きを妨げない適度なソールの屈曲性が特徴です。
また、長時間の使用を想定し、耐久性に優れた素材が用いられることが多いのもポイントです。
ランニングシューズの設計ポイント
一方、ランニングシューズは、「走る」というよりダイナミックな動きに特化して設計されています。設計ポイントは以下のような点が挙げられます。
- 大きな衝撃を効果的に吸収・緩和するための高い「クッション性」を重視。
- 「反発性」や、足の負担を軽減する「軽量化」を追及している。
近年のモデルでは、これらの性能を高めるためにミッドソール素材やカーボンプレートなどが採用されることもあります。
身体の動きの違いは?
ウォーキングとランニングでは、身体の使い方が違うため、その差でシューズ設計も変わってくるようです。基本的な身体の使い方と違いについてみていきましょう。
項目 | ウォーキング | ランニング |
衝撃の大きさ | 比較的小さいとされている (体重の約1~1.5倍) | 格段に大きい (体重の約3~5倍) |
足の運びと接地 | かかとから着地 つま先で蹴り出す動きが一般的 | 着地パターンが多様 (ヒール、ミッドフット、フォアフット) |
体重移動 | 滑らかで比較的ゆっくりとした 体重移動 | より速く力強い 体重移動 |
地面との接地時間 | 長い | 短い |
これらの違いを考慮せずにシューズを選ぶと、衝撃を十分に吸収できずに関節を痛めるなどのリスクもあります。
兼用はOK?NG?それぞれのパターンを検証
ウォーキングシューズとランニングシューズ、それぞれの特性を理解した上で、次に気になるのは「兼用できるのか?」という点ですよね。ここでは、専門家の意見やユーザーレビューを参考に、それぞれのパターンを検証してみましょう。
ランニングシューズでウォーキング
一般的には、ウォーキングシューズでランニングをするよりは許容範囲とされています。ランニングシューズの優れたクッション性はウォーキングでも快適さがあるため、軽量性なども足運びを楽に感じさせることもあります。
ただし、以下のような点に注意が必要です。
ランニングシューズのタイプ | ウォーキング時の注意点 |
クッション性が高い厚底シューズ | ・不安定に感じられることがある ・ランニング特有の「弾むような」感覚が不自然に感じられることがある |
走ることに特化したモデルのシューズ | ・ソールの硬さや推進力がウォーキングには不向き ・逆に足への負担増加につながる可能性がある |
ウォーキングシューズでランニング
こちらについては、専門家やユーザーの意見においては、ほぼ一致で「推奨されない」とされています。
ウォーキングシューズはランニング時に発生する大きな衝撃を吸収するようには設計されていないため、足首や膝などの関節に過度なストレスがかかり、怪我のリスクが高まります。
たとえ短い距離であっても、ランニングを行う際には専用のランニングシューズを使用するようにしましょう。
間違ったシューズ選びが招くトラブルとは?
適切なシューズを選ばないことは、単に不快なだけでなく、様々な足のトラブルや怪我を引き起こす可能性があります。ここでは、そのリスク等についてご紹介します。
よくある足のトラブルと怪我
不適切なシューズの使用は、以下のようなトラブルの原因となります。シューズの種類の違い以外にも、様々な原因がありますので、あわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
トラブル・怪我の種類 | 主な原因・要因 |
靴擦れ、タコ、マメ | ・サイズが合わないシューズ ・足の形にフィットしないシューズ |
足底筋膜炎 | ・衝撃吸収性が不十分なシューズ ・アーチサポートが合っていないシューズ |
膝の痛み | ・衝撃吸収性が不十分なシューズ ・シューズが原因となるフォームの乱れ |
腰への負担 | ・シューズの衝撃吸収性が低く、衝撃が腰に伝わる ・シューズが原因となるフォームの乱れ |
外反母趾の悪化 | ・つま先部分が狭いシューズの着用 |
これらの多くは、不適切なシューズでの繰り返しの動作による微細な損傷が蓄積することで発生します。
シューズの寿命と交換時期
どんなシューズも使用とともに機能は低下します。適切なタイミングでの交換が重要です。以下に沿って、シューズの寿命や交換時期を参考にしてみてください。
- 一般的な目安としては、総使用距離500km~800km
- 靴底の溝のすり減りやクッションのへたりなどの劣化のサイン
- 使い古されたシューズなど保護機能が低下しているシューズ
シューズの寿命は使用頻度や状況によっても変わるため、距離だけでなく劣化のサインにも注意し、総合的に判断しましょう。
まとめ
ウォーキングシューズとランニングシューズは、それぞれの運動特性に合わせて設計された、違いを持っています。
最も大切なのは「目的に合った靴を選ぶ」ことです。特に、ウォーキングシューズでランニングを行うことは身体へのリスクが高いため避けるようにしましょう。
また、つま先の余裕、足幅、かかとのフィット感などを入念に確認し、自分の足に合っているかを必ず確認しましょう。
適切なシューズを選び、快適な足元で健康的な毎日を過ごしてくださいね!